⚠️ 宣伝文句に過剰な期待をしない

多くのプログラミング教室が、魅力的なカリキュラムをWebサイトで、または体験時にアピールしています。しかし、当然ながら顧客を獲得するためのリップサービスも含まれています。「プログラミング教育」はまだ歴史が浅く、学習塾のように点数や偏差値で判断もできません。

ここでは、特にフランチャイズ系の教室でよく見られるカリキュラムについて、教室を探すみなさんが「どのような期待値を持ち」「どのようにプログラミング教室を活用すべきか」を確認していきます。

🎹 ポイント1:教室は「きっかけ」、上達は「自宅学習」

🎹 ピアノの習い事を想像してみてください

週に一度のレッスンだけで上達する子は、ほとんどいませんよね。日々の自宅での練習、またはピアノが好きでいつも弾いているような習慣があって、力が定着し、上達していきます。プログラミングも、これととても似ています。

📚 「教材の上限」という壁

教室の学びは、特にフランチャイズの場合は用意された教材やカリキュラムがベースです。そのため、そこで得られる知識は「教材の上限を超えることはない」のが現実です。

もちろん、カリキュラムで得られることも素晴らしい内容ですし、楽しく学べるものだと思います。

一方で、現実のプログラミングは応用を求められ続けます。「習ったこと」を遊びながらでも発展させることは、教室の外で自由にプログラミングをするときだと思います。

🌟 教室の本当の役割

では、教室の価値はどこにあるのでしょうか?それは、プログラミングの楽しさに触れる「きっかけ」や、学び始めの「道しるべ」を示してくれる点にあります。

学習塾のように、定期テスト・受験のためのように決まった内容を教えるような場ではないのです。

最終的には、「自分でプログラミングを学習していける」ように導くことで、これからの時代に適応していけるプログラマーを育てることになると思います。

🚀 本当に力が伸びる瞬間

教室で「楽しい!」と感じた子どもが、自宅に帰ってからも夢中で続きをやり始める。この時にこそ、学んだことが定着し、応用力が身につき始めます。

教室での学びと自宅での実践、この相乗効果が生まれるかどうかが、上達の大きなカギです。

⚠️ ポイント2:「○○が作れる」の言葉に、過度な期待をしない

「ゲームやWebアプリが作れるようになります」「AIを学べます」といった言葉は、とても魅力的に聞こえます。しかし、その「作れる」のレベル感には注意が必要です。

🌐 JavaScriptのケース:「Webサイトが作れる」の本当の意味

📢 教室の宣伝表現

HTML/CSSとJavaScriptを学ぶコースでは「Webサイトが作れる」と謳われます

🔍 実際の内容

それぞれの基本的な文法を学び、ごく簡単なWebページを作ることができるようになる

現実: 私たちが普段見ているような、動きのあるWebサイトやWebアプリを作るには、文法知識だけでは到底足りず、さらに多くの専門知識が必要になります。

🐍 Pythonのケース:「AIが作れる」の本当の意味

📢 教室の宣伝表現

「AIを学ぶならPython」という言葉は事実ですが...

🔍 実際の内容

教室では Python の基本的な文法や使い方を学び、プログラミングで数学やアルゴリズムの問題を解くことができるようになる

現実: 実際にAIを動かしているのは、Pythonの強みである膨大な「ライブラリ」という部品群なのですが、それを使いこなすレベルまで教室で教えるのは非常に困難です。

💡 保護者の心構え

これは、教室が手を抜いたり嘘をついているわけではなく、限られた時間・人員の中で教えられることには限界があり、教室ではそこに到達する初歩を教えている、ということです(一部は不誠実なリップサービスもあるかもしれませんが)。
特に高度な内容になると、それをサポートできる人員も必要になり、教室によっては、サポートできる人員を雇用したり育成することも簡単ではないでしょう。

ただ、上記の「実際の内容」で書いたことですら、週に一回の教室で学ぶには1〜2年の期間を要するでしょうし、それを達成できることは本当に素晴らしいことです

そして、それをクリアして Webアプリケーションを作ったり AI を学ぶというプロセスは、さらに簡単ではないということです。

もしも、お子さんのやりたいことが簡単ではない内容の場合は、教室と独学環境の両輪で進めていくか、オンラインのより高度なことを学べるレッスンを探してみるのも一つの手段かもしれません。
どちらであっても、本人のプログラミングへの強い興味や情熱があれば努力を努力と思わず、楽しんでクリアしていけると思います。

🧩 ポイント3:ビジュアル言語は「無駄」ではなく「最強の土台」

小学生向けの教室では、Scratch(スクラッチ)のようなブロックを組み合わせる「ビジュアル言語」がよく使われます。ロボット系の教室もビジュアル言語をよく採用しています。
これに対して、「おもちゃみたいで意味がないのでは?」と感じる方もいらっしゃいますが、それは大きな誤解です。

🎯 プログラミングの本質を、ストレスなく学べる

プログラミング学習で最初に挫折するポイントは、実は「キーボードの打ち間違い(タイポ)」です。打ちたい内容は決まっているのに、それにすごく時間がかかってしまって、それだけでコードを書くことを回避してしまうこともあります。

ビジュアル言語は、このストレスなく、「もし~なら」「〇回繰り返す」といったプログラミングの最も重要で本質的な考え方(論理)を学ぶための、最高のアプローチです。

🔗 テキスト言語と地続きである

ビジュアル言語からテキスト言語に移った生徒さんがよく戸惑って手が止まってしまいますが、そこに連続性があることに気づいていない場合があります。
全てではもちろんありませんが、多くのテキスト言語の基本文法は Scratch のようなビジュアル言語で表現できます。

Scratchの「もし~なら」ブロック = JavaScriptの「if」命令文

表現方法が違うだけで、全く同じ役割

では、「テキスト言語なんか習わなくいいのでは?」という意見もあると思いますが、残念ながら歴史的にテキスト言語の方が以前からあったことに加えて、多くの場合にテキスト言語の方がビジュアル言語よりも簡潔に記述できるため、多くの場合、開発現場ではテキスト言語が使われます

では「最初からテキスト言語を学べば無駄がない」という意見もありますし、それも方法の一つだと思います。ただ、「ビジュアル言語はテキスト言語より劣っているわけではない」ということは覚えていて欲しいと思います。

🏗️ 現場でも使われるビジュアル言語

「Unreal Engine」というゲーム開発現場で使われるツールにも、「Blueprint」というビジュアルプログラミングの仕組みがあります。それだけでなく、ゲーム・映像・CG のような分野では、プログラマーだけでなくアーティストも参加して作品を作り上げていくため、その全員が理解できて使えるビジュアル言語が利用されます。

🎓 生成 AI との親和性

あえてビジュアル言語に対して「現時点」でネガティブな表現をするとすれば、生成AIとの親和性が挙げられます。
生成AIはテキスト言語のコード生成も得意としており、今後はプログラミングも生成AIとの共同作業が前提になっていくと思います。
ビジュアル言語は、「現時点」ではあまりその恩恵を受けられていません。おそらく生成AIの進化のスピードを考えれば、数年以内には同様の恩恵が受けられるようになるとは思います。(なぜならビジュアル言語もその裏側にはビジュアルを生成しているテキストがいるからです)

🎹 ポイント4:検定は水泳教室の級のようなもの

今後変わっていく可能性はある

私が新卒の面接に関わっていた時代には、そもそも子供向けの検定自体ありませんでしたし、今はまだ意味あるものではないかもしれませんが、今後は確かな能力を示し就職時にも活用できる検定が出てくるかもしれません。

📚 プログラミングに関連する検定

プログラミング能力検定を代表に、小学生でも受験可能なプログラミングに関する検定がいくつかあります。

履歴書や入試の時に書けるという触れ込みもあり、実際「書くことはできます」。

ただ、英検や TOEIC のようなものを想像しているとすればそれは認識が異なっていて、一番近いのは水泳教室の級のようなものでしょう。

確かにその検定の認定内容のようなことができることは確かかもしれませんが、小中高の頃に取ったプログラミングの検定資格ということであまり評価は期待できないでしょう。
それよりも、簡単でもいいのでアプリケーションを作って見せてくれる方が良い評価を得られるかもしれません。

🌟 検定よりも「何かを作る」

検定は教室で習ったことを、復習し定着させていくことになります。もちろんこれ自体は意味あることだと思います。

一方で、現実のプログラミングは熟練者であっても「文法を暗記している」ようなことはあまりありません。なぜなら、熟練者になればなるほど多くの言語を同時に使うため、文法よりも「その使い分け方」が重要なのです。
言ってしまえば、文法は高機能な開発ツールや、現代であれば AI にアシストさせればなんとなく覚えていれば書けてしまうのです。

プログラミング系のコンテストあれば、それが小規模や小学生向けであったとしても、自分の習得していることと、その応用を駆使して考えて作品を作ることになります。例え、Scratch であっても作品を作り上げるプロセスでたくさんの得るものがあるはずです。
もちろん結果はあまり重要ではありません。作り上げることが重要であり、それが何より難しいのです。

親や講師に助けてもらいながらでもいいのです、実際の現場でも先輩や同僚に助けてもらいながら仕事をします。それでも、「作り上げる」ということは大きな学びがあると思います。

🎯 カリキュラムや教材を判断するポイント

⚠️ 注意すべき宣伝文句

  • • AI開発ができるようになる
  • • 本格的なWebアプリが作れる
  • • 最新技術を習得
  • • ビジュアル言語は意味がない

✅ 現実的な期待値

  • • 基本文法の習得
  • • プログラミング的思考の育成
  • • 学習へのきっかけ作り
  • • 独学への橋渡し

💡 最も重要なこと

教室は「完成形」ではなく「スタート地点」として活用し、
本格的に学びたくなったら独学環境を整えるという段階的アプローチが成長の鍵

次のステップ

ここまでで、「学習の目的の整理」「フランチャイズや独立系の教室のタイプの違い」「オンライン・通塾、マンツーマン・教室指導などの学習スタイルの違い」、そして「カリキュラムや教材」について一通り確認してきました。
ここからは実際に教室を探すステップに進みます。

もちろんみなさんで Google 等で検索していただくのも素晴らしいことです。
本サイトでも、徳島県内のプログラミング教室をフランチャイズ別にまとめたページを用意していますので活用してください。

教室選びの段階的アプローチに戻り教室・フランチャイズの一覧を見る