教室選びガイド

視点1:教室のタイプを知る

「フランチャイズ」や「独立系」について知っていきましょう

プログラミング教室には、大きく分けて「フランチャイズ系」と「独立系」の2つのタイプがあります。

「どちらが良い・悪い」という話ではありません。それぞれに得意なこと・苦手なことがあり、皆さんの目的によって「どちらがより合っているか」が変わってきます。このページで両者の特徴を深く理解し、最適な教室選びの参考にしてください。

1. まずは「フランチャイズ」の2つのタイプを知ろう

「フランチャイズ」と一括りにされがちですが、実は教え方によって大きく2つのタイプに分かれます。

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タイプA:映像・アプリ教材で自学するタイプ

生徒一人ひとりがPCに向かい、用意された映像教材や専用の学習アプリケーションを自分のペースで進めていく形式です。

特徴:

  • 学習アプリはゲーム感覚で進められるなど、子どもを飽きさせない工夫がされています。
  • 「Scratchでゲーム制作」「Python入門」「情報I」など、特定のゴールや言語、科目が設定されていることが多いです。
  • 教える主役は「教材」のため、教室の先生は生徒の見守りや、詰まった時の簡単なヒント出しがメインの役割となります。

どんな子が合っているか:

  • 一人で黙々と作業に集中するのが好きな子。
  • まずは決まったお手本通りに、何か一つ作品を完成させる体験をしたい子。

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タイプB:ロボット・STEAM教材で対話するタイプ

ロボットや電子工作キットなどの「モノ」を使い、先生や他の生徒とコミュニケーションを取りながら進めていく形式です。

特徴:

  • 遊びや工作の延長で、楽しみながらプログラミングの概念に触れられます。
  • 「なぜ動かないんだろう?」「こうしたらどうなる?」といった試行錯誤が生まれやすいです。
  • 先生は、子どもたちの自由な発想を褒めたり、時には一緒に考えたりと、より対話的な役割を担います。

どんな子が合っているか:

  • ブロックや工作など、手を使ってモノ作りをするのが好きな子。
  • 友達とワイワイ話しながら学ぶ方が楽しいと感じる子。

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【フランチャイズの共通点】

どちらのタイプも、本部が用意した質の高いカリキュラムや教材が強みです。
そのため、フランチャイズによっては「プログラミング未経験でも運営できる」というケースもあります。これは、プログラミングの応用や深い知識を求めるのは難しいかもしれませんが、「教えることが好き・長けている」講師であれば、カリキュラムや教材を使って子どもたちに良い学びの体験を提供できる可能性があります。

2. 「独立系」のプログラミング教室とは?

フランチャイズ形態や契約して使う教材を使わない「独立系」の教室があります。
独立系の本質は、「講師個人の経験と哲学そのものが、教室の魅力になる」という点にあります。

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特徴1:講師は「プログラマー」

独立系は、多くの場合、講師自身がプログラマーであることです。教室運営をしている場合、現時点で企業で働くプログラマーではないかもしれませんが、現場での経験を持っていたり、日々プログラミングに触れている人が多いです。

これは、決まったカリキュラムや教材を教えるだけの講師とは大きく異なります。

例えるなら、「現役のピアニストが運営するピアノ教室で、ピアノだけでなく音楽そのものの楽しさや奥深さを教わる」ようなものです。ピアノ教室で、講師がピアノの演奏をしないことは考えにくいですよね?同様に、独立系の講師はプログラミングの実践者であり、子どもたちに「プログラミングの楽しさ」や「実際の現場での使い方」を伝えることができます。

特徴2:子どもの興味に寄り添い、「カスタマイズ」できる柔軟性

独立系の教室には、フランチャイズのように固定化されたカリキュラムがない場合が多いです。これは一見、体系的でないように見えますが、大きな強みにもなります。

例えば、「ゲーム制作」というコースがあったとして、フランチャイズであれば「何をどうやって作る」まで決まっており、自分で作りたいとなった場合は「自習」扱いになったり、よりレベルアップしたクラスになる場合があります。

独立系であれば「何を作りたい」に沿って、基礎学習から実際に作るところまで、講師が一緒に考えたり、必要な知識を教えてくれる可能性があります。「子どもが興味を持ったことを深掘りする」ことができるのです。

また、レッスン中に子どもが「このゲームの新機能ってどうなってるの?」「最近よく聞くAIって何ができるの?」と疑問を口にしたとします。そんな時、独立系の講師はその子の知的好奇心という"最高の学習機会"を逃さず、予定を変更してそのテーマを深掘りしてくれるかもしれません。

決まったレールの上を走るのではなく、子どもの興味に合わせて寄り道や探検をしながら進む。この「いい意味での脱線」こそが、自ら学びたいことを見つけ、走る力、すなわち「自走力」を育む土壌となります。

特徴3:情報の「鮮度」が高い

IT業界の技術の進化は、非常に高速です。昨日まで主流だった技術が、今日にはもう古くなっている、ということも日常茶飯事です。

プログラマーである講師は、常に新しい技術情報を集めています。 そのため、カリキュラムや教材が改訂されるのを待つことなく、「発表されたばかりの新機能」「世界で話題の新しい技術」を、いち早く子どもたちに紹介してくれるかもしれません。
プログラミングの世界は変化が速く適応していくことこそが重要です。このように新しい情報を追いかける姿勢は、子どもたちが将来、変化に適応できるプログラマーになるためのお手本になるかもしれません。

注意点:独立系を選ぶ前に確認したい2つのチェックポイント

独立系の特徴は、その質は「講師個人」に大きく依存するため、見極めが重要です。

チェックポイント1:講師の「質」と「発信力」

講師の経歴はもちろんですが、「日常的にプログラミングに触れ、その楽しさや知識を外部に発信しているか」も見てみましょう。個人のブログやSNS、技術サイトへの投稿などがあれば、その人の技術への情熱や人柄が垣間見えます。

チェックポイント2:お子さんとの「相性」

どんなに優秀なプログラマーでも、教育者として優れているとは限りません。特に独立系は先生の個性が色濃く出るため、お子さんとの相性が何よりも大切です。体験授業には必ず参加し、「この先生となら楽しく学べそうか」「質問しやすい雰囲気か」を、お子さん自身の目で確かめてもらいましょう。

3. 情報I・大学受験対策とフランチャイズ

2025年度からの大学入学共通テストで「情報」が新設されるなど、プログラミング学習の学術的な重要性も高まっています。 このような背景から、「情報Iの対策をしたい」「大学受験に役立てたい」という目的でプログラミング教室を検討するご家庭も増えています。

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学術目的とフランチャイズの相性

特にフランチャイズの「タイプA:映像・アプリ教材で自学するタイプ」は、情報Iのシラバスに準拠したカリキュラムや、大学受験を見据えた教材を提供している場合があります。 これらの教室では、体系的に知識を習得し、試験対策に特化した学習を進めやすいというメリットがあります。

ポイント:

  • 「情報I対応」「大学受験対策コース」といったキーワードで教室を探してみましょう。
  • フランチャイズ本部が提供する教材の質や実績、進学サポート体制などを確認することが重要です。

独立系の教室でも、講師の経験や知識によっては情報Iの内容をカバーできる場合もありますが、フランチャイズには学習塾を母体としている場合もあり、受験対策プログラムという点でも強みを持っていることが多いでしょう。

まとめ:結局、どちらを選べばいいの?

ここまで見てきたように、どちらのタイプにも明確な強みと弱みがあります。最後に、皆さんの目的と照らし合わせて、どちらがより合っているかを考えてみましょう。

「フランチャイズ系」が合うのは…

  • 体系化されたカリキュラムや教材に沿って、効率的に知識をインプットしたい場合。
  • ロボットや STEAM 教材など、自宅では扱いづらい教材で学んでみたい場合。
  • 目的が「学校の成績UP」や「情報Ⅰの大学入試対策」など、明確な場合。

「独立系」が合うのは…

  • 習い事としてではなく「やりたいこと・作りたいもの」があってプログラミングを学びたい場合。
  • 将来、プログラマーとして活躍できるような「自走力」の土台を築きたい場合。

どちらのタイプを選ぶにせよ、最後は必ず体験授業に参加し、お子さんと先生の相性をその目で確かめることが何よりも重要です。

🎯 次のステップ:教室の探し方の7つのポイント

フランチャイズと独立系という運営スタイルの違いを理解したら、次は教室の探し方をみていきましょう。

教室の学習スタイルを中心に違いとポイントを確認していきます。